スポンサード リンク



胡錦濤訪日2008まとめ



胡錦濤中国国家主席が10日に離日、5日間(でしたよね)の訪日日程が円満?に終了しました。

前回のエントリでも書きましたが、毒ギョーザ事件や東シナ海ガス田問題のような日中間の懸案は先送りされることが伝わっていたのであまり興味はなかったのですが、それなりに見物もあったみたいなので、軽くまとめておきます。

実質的な課題は総先送りの友好親善旅行でしたが、そんな中でもささやかながら得失はあるものですから、まずは日中の得失を列挙してみましょう。

中国
毒ギョーザ事件先送り
北京五輪協力
ガス田先送り
環境技術協力
人材育成奨学金(5億)

日本
パンダ(レンタル)
戦後日本の平和主義肯定
中国の近代化に果たした日本役割の肯定

微妙
チベット問題
日本の常任理事国入り

毒ギョーザ事件は見事に先送りになりましたね。まぁ捜査当局に案件が移っていますから、いまさら政治的に露骨に介入する訳にもいかないんでしょうけど。この事件がなければもう少しラクな旅となったであろう中国。関係当局に任せすぎて気付いたときには最悪の方向へ発展してしまっていた(※参照:「毒ギョーザ事件顛末(一応まだ進行形)」)ことを上層部は悔いていることでしょう。

北京五輪協力については別に日本に限った話ではなく、世界的にそうですから別に特筆することではないのかもしれません。反対と言ってもせいぜい開会式ボイコットぐらいなものですから。

ただ、中国側は皇室はムリでも福田首相の開会式出席の確約は取れると踏んでいたようですが、福田首相は「出来れば」というニュアンスで、状況次第では欠席するという含みは残したみたいですね。本人の意思か外務省の献策かは知りませんが、このあたりは生粋の媚中派として名を馳せるヨウヘイ君とは一線を画す……と言っていいのかな。

ガス田問題については福田首相が「長年の懸案に解決のめどがたった」とし、胡主席も「問題解決が見えてきた」と日中双方が満足しているようなコメントを出していますが、実質的に先送り、ということで、既にガス採取基地を構築している中国の得点とするのが妥当でしょう。でなければ中国側が肯定的なコメントを出す訳がありませんし。どういう話になっているのか気になります。

中国にとっては環境汚染は逼迫した問題になっていますから、環境技術協力は喉から手が出るほど欲しい項目です。まぁ中国の環境問題は日本へも影響を与えていますから日本にとっても他人事ではありませんし(ある意味強盗理論ではありますが)、環境技術は日本にしかない、という訳でもないので、日本が協力しなくても欧州の技術が入るだけですから。

人材育成奨学金についても、知日派を育成するという観点から見れば、日本の丸損ではないでしょう。

チベット問題についてはハナから日本政府に期待なんてしてませんでしたが、在野の活動は思ったよりも活発でした。

早大生と警官もみ合う 大隈講堂前、チベット旗掲げ(イザ!)

日頃海外の人権問題には疎い日本人ですが、今回は毒ギョーザ→チベット→聖火リレー抗議という流れで注目度が高く、それに加え近年盛り上がっている反中意識に乗っかったところもあり、海外の人権問題で4000人をマークしたのですから、これは大事と見て良いのではないでしょうか。

チベット問題を契機として、海外の人権問題にも関心が高くなったということなら、それは祝ってしかるべきかと思います。ただの反中で終わらないことを祈るのみ……です。

あと、議員ですが、一応「在野」の身である安倍前首相の言動にも光るものがありました。

「無事釈放を…」安倍前首相発言で緊張走る(イザ!)

 こうした会場の「緩い空気」(出席者)が一変したのは、続いて安倍氏がこう発言してからだ。

 「お互い国が違うので、利益がぶつかることもあるが、戦略的互恵関係の構築に向け、相互訪問を途絶えさせない関係をつくっていくことが重要だ」

 これは、小泉氏の靖国参拝をめぐり中国側が首脳交流を途絶えさせたことを暗に批判したものだった。安倍氏はその上で、「チベットの人権状況を憂慮している。五輪開催によって、チベットの人権状況がよくなるのだという結果を生み出さなければならない」と指摘した。

 会場には緊張感が走り、出席者はみな一様に黙り込んだが、安倍氏はさらにウイグル問題にも言及した。東大に留学中の平成10年の一時帰国中、国家分裂を扇動したとして中国に逮捕されたトフティ・テュニヤズさんについて「彼の奥さん、家族は日本にいる。無事釈放されることを希望する」と求めたのだ。

 「私はその件は知らないので、正しい法執行が行われているか調べる」

 胡主席は、こう返答したが、チベット問題については触れようとしなかった。

こういうことをサクッと言える人は、日本の政治家には少ないので貴重です。それにしても、あの退陣の仕方は本当に悔やまれますね。先に入院するなどして退き際をもう少しキレイにしておけば、将来の復活にもプラスになったのですが。

ウイグルの問題にしてもそうですが、これがもしアメリカだったら訪問の手土産として先に解放するなりなんなりするんですけどね。日本はおとなしすぎ。

ちなみにですが、この他にも中田横浜市長が胡錦涛との会談において暗にチベット対応を批判したという話もあります。

チベット対応を暗に批判=胡主席との会談で-横浜市長(時事通信)

角が立たない言い回しです。一地方市長ですからね。将来国政の場で活躍されることを期待しつつ。

日本の常任理事国入りについては明確に否定しなかったためにいろいろな憶測を呼んでいるようで、中国では日本の常任理事国入りを支持したなんていう報道もあったようですが、肯定した訳ではないので、リップサービスみたいなものと考える方が普通でしょう。

第一、数年前には人民にあれだけ激しく反対させていたのですから、国内世論の手前、今更あっさりと「支持する」なんて言えませんし。なにせ否定しなかっただけで煽られてますから。

一方の日本が得たものとしたら……パンダですか。しかもレンタル(名目は研究目的)、年俸1億円。その他飼育費など込み込みで年3億円を超えちゃう高級品です。

国際条約の手前、無償譲渡はできないのでレンタルとなるのはしょうがないのですが、高いですねぇ。しかもパンダは食べ物について好き嫌いが激しいらしく、飼料費がバカにならないそうで、動物園にとっても費用効果的にはプラスにならないそうです。

パンダつがいで年1億円 高額のレンタル料に疑問の声も(イザ!)

民生が厳しさを増してますから、これほど高価な「人寄せ」パンダを肯定的に見る日本人はあまり多くないのではないでしょうか。

パンダなんかより価値があるのは戦後日本の平和路線と中国の近代化に果たした日本役割を公に?肯定したことでしょうか。こんな歴然とした事実をやっとのことで肯定してもらって喜ぶのも情けない話ではありますが。リップサービスと言えばそれまでですが、あの中国から日本を評価する言葉を引き出したのですから、ちょっとは評価してあげたい気がします。

そんな訳で、具体的な案件で日本が得たものはほぼゼロ、です。お口(リップサービス)ぐらいなものですね、ほんとに。

中国国内では日本を肯定的に見る報道が盛んに流されていますが、これは反日に振れすぎた国内世論の修正に迫られている中国政府の事情によるためです。中国で事業を展開する日本企業にとっては渡りに船でしょうけど。

ただ、胡錦涛の親日路線(先代と比較しての話ですが)が明確になったので、日本人にとってはわかりにくい中国共産党内部の対立構造軸が多少なりともわかりやすくなったのではないのか、と思います。現政権と対立軸上にある先代は反日路線ですから、中国政府も一枚岩ではなく、内部に親日反日の対立軸が存在している、という認識が多少なりとも広がれば、浅薄な中国論が蔓延る余地が小さくなるのでは、と思います。

もちろん、親日反日の対立軸というものもその他多数の要素の中の一つでしかありません。反日派と言っても信条としての反日派も存在すれば、カウンターパートとしての反日派も存在します。

中国云々……共産党云々……と単純に考えると物事が見えなくなります。中は複雑なのです。

まぁ、何はともあれ今回の訪日は友好親善旅行ですから、それ以上のものでもそれ以下のものでもない、ということで。

ちなみにですが、個人的に印象に残っているのは胡錦涛と福原愛のピンポンのシーンです。あの歳であれだけ動けるならたいしたものですね。さすがは国技……ではありますが、それを差し引いてもたいしたものでしょう。

スポンサード リンク

Amazon